虹の犬

いい瞬間だけを閉じ込める

虹色の生地に閉じ込め焼き菓子にする

不安は蟻が担いで持って行く

理解の中に滲む汗

冷静の灼熱

不安は犬で

無心は猿だ

否認の低音

他人の和音

理屈に浸かったたくわん

名前だけ新しい駅

夜でも朝でもない無人島のにおい

尽きても果てても無尽蔵のにおい

夕方にもなれない匂い

アパートの天井に映る海

陽ざしを歩く魚のように生きる

歯車の凹凸が消える

味のない悪夢をココアに溶かして飲んだ

孤独は盲目のゼラチン

紅茶色の雲

長居してきた社会から席を立つ

絶対に帰る

動物に帰る

家のない頃に帰る