紅い犬

 

偶然の皮に包まれ

積年の骨を包みし

我が生肉の臓音

球体を転がし

同類へ繋ぐことできず

空気を震わすことできず

寡黙な本能は諦めて眠る

言葉を刻んで差し出して

祓える限りの鈍みを取り除き

滲み残る穢れを残したままで白皿へ盛る

言葉を配列する

透明になるまで濾した血と熱を動力に変え

隠された抑圧からの逃避口を目指す

噂を疑え

答えを疑え

宇宙を疑え

獣が呻く

知が踊る

我が名は紅い肉