2019-04-12から1日間の記事一覧

狡猾な枯渇

流れない 生まれない 捕まらない 朝も 昼も 夜も 空っぽなまま生きていける 隠れ家の排泄はとまる 今夜の暴動は終わる 素直な欲望 気まぐれな希望 やさぐれた野望 苔の生えた腹のなかの自然 水脈が枯れても 手動で回る水車 風が止んでも 動き続ける風車 枯れ…

駄作論

死ぬのがわかっているのに 生きているわたしは これからは無駄なことだけをやる 何も変えられないものをつくる 無理やり灯りを灯さず 見えないままで その日 その日を振り付ける 無力な手足を振り続ける どこにも行けないまま 地球の丸さを知る わたしの両目…

眠れない犬

眠れない脳の温度 マーブル色の夜の部屋 本の雪崩とと愚れた寝間着達 毛布に包まり スヌーピーのランタンを灯す 仕留められない明日に飛びつく アルマジロがバンジョーを弾いている 冬と春の間で血のケトルが沸騰する 同じ夜のなさに怯え 同じような夜に這い…

視聴会犬

白黒映画とメルヘンが空の梯子から降りてくる 二匹の星と目が合う葡萄のステージで 秘密の箱の鍵を解いて 薔薇の穴の名を叫ぶ 土の匂いに溢れ出す微生物 死を恐れる欲望が目を覚ます 地平線では昼間の太陽が踊りだす 滑らかな涙で錆びた車輪が回りだす 梶の…

冬の犬

狂気を呼ぶ季節 寒い時期に、わたしの精神と肉体はおかしくなることに気づいた。夏は仕事周りや人間関係も落ち着いていて、冬は奇行に及びがちで人間関係の終わりを多く経験してきた。振り返るとそんな気がするし、きっと間違っていない。冬場からまだ寒さの…

人と犬

時を押しのけ 時に押しのけられ 底に埋まった古い本 誰よりも言葉を失くしたい 誰よりも言葉を打ち消したい 上手を消したい 下手を消したい 普通を消したい これを書いたら死んでもいいと思えること そんなことだけ書けばいい 死ぬこととは違う死に方 長く穏…